嵐が丘 映画 松田優作

1988年公開作品。監督は吉田喜重。原作は
エミリー・ブロンテ。出演者は松田優作の他、
田中裕子、名高達郎、石田えり、萩原流行、
三國連太郎などです。

時代は鎌倉時代。火の神を司る山部一族は、
火山地帯に住み、東の荘、西の荘に別れて
暮らしています。

ある日東の荘の当主である高丸(三國連太
郎)は、都から異様な容貌の孤児を連れて
帰ります。孤児は鬼丸と名付けられ、下人
として使われるようになります。

高丸の嫡男である秀丸(萩原流行)は、下人
の市(今福将雄)とともに鬼丸を嫌い辛く当
たります。しかし高丸の娘の絹と高丸は、
鬼丸に優しく接します。

しかしある夜、鬼丸は高丸が密かに行う神事
を覗き見るという禁忌を犯してしまいます。
秀丸は激怒しますが、高丸と絹は許すのです。
そこで秀丸は怒って出ていってしまいます。

やがて成長した鬼丸(松田優作)は立派な青年
になり、絹(田中裕子)も美しい娘に育ちまし
た。しかし山部家の娘は代々、京の加茂神社
の巫女になるという掟があり、成長した絹は
家を出なくてはならなくなります。

そこで、密かに鬼丸に思いを寄せる絹は、同
じ山に住む西の荘の当主の光彦(名高達郎)の
もとに嫁ぐと言うのです。そして嫁ぐ前夜、
絹は鬼丸に身を任せて愛し合うのです。

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ところが絹の婚礼の日に、山に入ってきた武士
たちに高丸が殺されてしまうのです。山では鬼
丸が当主と思われていましたが、何と高丸の死
を知った秀丸が山に妻子を連れて戻って来たの
です。そこで鬼丸が山を出ていくことになるの
です。

西の荘では、絹が女の子を出産します。そして
出産の手伝いに来ていた秀丸の妻の紫乃(伊藤
景衣子)が東の荘への帰る途中に野盗に強姦さ
れて亡くなります。妻を失った秀丸は、悲しみ
の余り禁止されていた里への出入りをするよう
になり、女郎屋に入ろうとして里の人間たちに
よってボコボコにされてしまい、死んでしまい
ます。

丁度その頃、鬼丸が戦の功績を認められて地頭
の地位を得て戻ってきたのです。鬼丸は東の荘
の当主となり、秀丸の息子の良丸(古尾谷雅人)
を下人としてこき使います。そして西の荘の光彦
の妹の妙(石田えり)は、東の荘の鬼丸に接近を
図ります。

絹は産後の肥立ちが悪く、亡くなってしまいま
す。それを知った鬼丸は狂気と化します。絹の
墓を掘り起しますが、死体には蛆が湧いていた
のです。そして鬼丸は妙を暴力的に犯すのです。
妙は翌朝、首をつって自殺します。

さらに西の荘が野党に襲われ、一族が皆殺しに
され、当主の光彦も瀕死の重症を負い、鬼丸の
目の前で自害するのです。鬼丸は紀にが産んだ
娘で同じ名前を名付けられた絹(高部知子)を東
の荘に引き取ります。

まだ絹への思いが強い鬼丸は、骨になった絹を
棺ごと東の荘へ持ち帰ります。それを娘の絹は
母を蔑ろにされたと感じ、良丸に鬼丸を殺させ
ようとします。そして良丸は、神事を行ってい
る最中の鬼丸に斬りかかり、鬼丸の右腕を切り
落とします。娘の絹と良丸は馬に棺を乗せて葬
ろうとするのですが、なんと馬が鬼丸の方へと
走って行ってしますのです。鬼丸は馬から棺を
おろし、棺を引きずって荒野をさすらい、火口
に向かうのでした。

鬼丸の狂気の愛と、数奇な運命を描いた物凄く
シュールな作品です。出て来る役者さんのセリ
フ回しや、カメラワーク、カット割などに非常
にこだわりが感じられます。

それにしても松田優作の鬼気迫る演技には感服
します。もちろん田中裕子さん、石田えりさん
ら女優陣の演技も見逃せません。因みに石田え
りさんは、本作で日本アカデミー賞最優秀助演
女優賞を受賞されています。

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