家族ゲーム 1983

1983年6月公開。監督・脚本は森田芳光、原作は本間
洋平の同名小説。出演は主演の松田優作、伊丹十三、
宮川一朗太、由紀さおりなどです。

この映画も、松田優作の新境地を垣間見せた作品で、
それも監督・脚本を手掛けた奇才森田芳光の存在の影
響も大きいと思います。

沼田茂之(宮川一朗太)は、高校受験を控えた中学三年
生。しかしクラスでビリから9番目の成績という落ち
こぼれ。さらにいじめまで受けています。

兄の慎一(辻田順一)は茂之と違って出来が良く、西武
高校に通っています。茂之のことを心配する父の孝助
(伊丹十三)と母の千賀子(由紀さおり)は、これまでも
茂之に家庭教師を何人も付けましたが、皆すぐに辞め
ていくのです。

そして今回家庭教師としてやってきたのが、三流大学
の城南大学の7年生で、いつも植物図鑑を持ち歩くひょ
うひょうとした男、吉本勝(松田優作)。孝助から成績
が上がれば特別金を出すと言われた吉本は、これまで
の家庭教師と異なり、茂之の悪ふざけややる気の無さ
に対して、手を上げて暴力的に茂之に勉強をさせるよ
うにします。

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奥の細道の分からない漢字や言葉をノートに書き出せ
と吉本が茂之に指示すると、茂之はノート2ページに
渡り夕暮れという言葉を書き連ね、吉本に殴られます。
また殴られるのが怖いので仕方なく勉強するようにな
り、茂之の成績は上がります。

またいじめっ子たちが、茂之の成績が上がるのを嫌が
るのを知った茂之はさらに勉強をして成績を上げて、
ついに兄と同じ西武高校の合格ラインを超えるように
なります。

しかし茂之は西武高校ではなく、神宮高校に行くとい
うのです。孝助は、西武高校じゃなきゃダメと言いな
がらあんまり強く言うとバット殺人が起こると言って、
何も言わず千賀子に任せます。結局千賀子も、志望校
変更届の提出を吉本に頼むです。

吉本は茂之の担任に何とか志望校の変更を認めさせ、
茂之も無事西武高校に合格します。そして沼田家で茂
之の合格祝いが行われます。横長のテーブルに全員が
横一列になって座り乾杯。しかし吉本はワインをわざ
とこぼしたり、ゴミを散らかしたり、パスタを投げた
り、スープをこぼしたり、挙句の果てにワインをテー
ブルにいっぱいにぶちまけたりします。ついに孝助が
あんた何やってんだと言うと、吉本は孝助を腹を殴り、
千賀子が何をやってるんですかと言うと、千賀子の首
を殴り、2人を気絶させます。また茂之と慎一も殴り
飛ばすのです。そうして、吉本は植物図鑑を持ってそ
の場を後にします。

何とも言いようのない痛快さが最後に味わえます。最
後にテーブルもひっくり返して吉本は去っていくので
すが、これがまたいいんです。伊丹十三演じるいい加
減な父親と、由紀さおり演じる典型的な専業主婦の母
の2人が全く真剣に子供のことを考えていなくて、ただ
既成の価値観を押し付け、体裁を繕おうとしているだ
けなのに対して、吉本の行動は溜飲が下がります。松
田優作が破天荒な家庭教師役も、難なく違和感なく演
じているのがさすがです。


家族ゲーム HDニューマスター版 [ 松田優作 ]

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