1982年1月に火曜サスペンス劇場で放送されたドラマです。
監督はヨコハマBJブルースと同じ工藤栄一。出演は、松田
優作の他、岡田英次、夏木マリ、一色采子、西田健、榎木
兵衛、田島令子、竹田かほりなどです。
北海道の貧しい炭鉱に生れた尾形徹男(松田優作)は、苦学
して大手証券会社に入社します。社長の大橋浩太郎(岡田英
次)の秘書として浩太郎自身も尾形の能力を評価しています。
尾形は大橋の娘の美千代(一色采子)と交際をしています。
しかし浩太郎は、尾形の素性の悪さを理由に、美千代との
交際を認めませんでした。そして財閥出身の野上と美千代
を結婚させると言うのです。
その浩太郎がハイヤーに乗って出掛けるのを、尾形はタクシ
ーで尾行します。すると浩太郎は愛人のマンションへ行くの
ですが、なんとそこで脳出血により倒れます。マンションの
管理人から事情を聞いた尾形は、浩太郎を自宅に運ばせます。
意識が回復した浩太郎は、美千代と別れさすため尾形に
北海道北見支店への転勤を命じます。さらに美千代をア
メリカへ行かすとも。
図書館で医学書を読む尾形。そして浩太郎の枕元に行
き、点滴のチューブに注射して殺害します。そして尾形
は脳出血の発作による心不全で死亡したことにし、浩太
郎は死ぬ前に美千代との結婚を認めてくれたと、美千代
に話すのです。
浩太郎の葬儀から3ヶ月後に、尾形と美千代は結婚しま
す。しかし仕事が忙しい尾形に美千代は不満を漏らしま
す。そんな中、尾形宛に久代(竹田かほり)から手紙が届
きます。美千代は封を開けて中身を読むと、ペーパーナ
イフをもらったことのお礼でした。真相を確かめるべく、
久代のアパートへ美千代は向かいます。そして部屋にペ
ーパーナイフがあるのを見て愕然とします。それは美千
代が尾形にプレゼントしたものだったのです。顔色を変
えて部屋を飛び出し、美千代は浩太郎の最期を看取った
医者の元へ向かいます。すると医者は、脳出血の場合遺
言は出来ないと言うのです。
浩太郎が遺言で美千代と尾形の結婚を認めたことが嘘だ
と分かった美千代は、ペーパーナイフを他人にあげたこ
と、そして財産目当てに自分と結婚したことで尾形を責
め、真相を全て叔父に話すと言います。そして尾形と揉
み合いになり、机の角の頭を強打して美千代は亡くなり
ます。
尾形は美千代の死体を車に乗せ、大橋家の別荘に行く途
中に事故死したように見せかけるため、美千代を運転席
に座らせて崖下に車を転落させます。
その後尾形は会社の重役に決まります。そして美千代の
姉の慶子(夏木マリ)がフランスから帰国し、大橋家を訪
れます。美千代の部屋を見て、美千代の死に疑問を持つ
慶子。そして慶子は野上に会い、尾形がなぜ株の名義変
更を急いだのか真相を探ろうとします。
さらに美千代の日記を見た慶子は久代に会い、自分が美
千代にプレゼントし、さらに美千代が尾形にプレゼント
したペーパーナイフがなぜ久代のところにあるのかを探
ります。
慶子は美千代の事故現場を訪れて、花束を投げます。尾
形に対する疑惑を深めた慶子。するとそこに尾形が現れ
ます。美千代を殺したのはあなたでしょうと叫ぶ慶子。
そして別荘に逃げ込みますが、結局尾形に監禁されてし
まいます。
今度は私も殺すのと慶子が尋ねます。尾形は社長を殺して
美千代を殺して、もう3人目なんて無理だと言います。精
神的に追い詰められ始めた慶子は、疲れて眠っている尾形
にペーパーナイフを突き刺そうとすると、なんと尾形が慶
子に抱きついたので、尾形の腹にナイフが突き刺さります。
こりゃ美千代と僕の心中だなと言う尾形。その後富士佐倉
高原の別荘地の雪原で、男性の死体が発見されるのです。
苦労して掴んだ自分の地位を守ろうとして犯罪に手を染め、
転落していく証券マンの尾形を松田優作が好演しています。
松田優作が、2時間サスペンスドラマに出演しているのは数
少ないですから貴重ですね。
