1980年10月公開で、原作は大藪春彦の同名小説、
監督は村川透、出演者は松田優作、小林麻美、室
田日出男、鹿賀丈史などです。
土砂降りの雨の夜、警視庁捜査一課の岡田警部補
(青木義朗)が殺害され拳銃が奪われます。さらにそ
の後同じ夜に、違法賭博場が銃を持った男に襲われ
る強盗殺人事件が発生します。
犯人の伊達邦彦(松田優作)は、東大卒で通信社の
カメラマンとして戦場を渡り歩き、帰国後は通信社
を退職して翻訳の仕事をしながら、読書とクラッシ
ック音楽に没頭する生活を送っています。
次に伊達は銀行強盗を計画します。まず銀行の防犯
体制及び銀行からの合図からどれくらいでパトカー
が到着するかを確認するために、宝石店の男を銀行
に呼び出します。そして店員がカウンターに近づく
と係の男に、前にいる男に金を渡すよう指示します。
係の男の合図で宝石店の店員は取り押さえられ、1分
30秒後にパトカーが到着しました。伊達はこれでは
単独での犯行は無理と考え、共犯者を探すようにな
ります。警察がなかなか犯人が割出せない中、岡田
警部補の部下だった柏木刑事は執拗に事件を追い、
伊達に目を付けていたのでした。
ある時大学の同窓会に出席した伊達は、レストラン
のウエイターの真田(鹿賀丈史)と出会います。伊達
とは正反対の性格だが、真田に野獣性を感じた伊達
は、行動を共にするようになります。
真田に銀行強盗計画を伝え、山中で銃の扱いを指導
し、腕を上げた真田に一緒に来た真田の恋人の雪絵
(根岸季衣)を動く標的として殺すように伊達は指示
します。真田は戸惑いながらも実行し、雪絵を撃ち
殺します。伊達は真田を褒め、野獣の道を生きるよ
うに勧めるのでした。
伊達と真田はついに銀行強盗を実行に移します。計
画どおりに事は運び、大金を金庫から奪いますが、
そこには伊達に思いを寄せる令子(小林麻美)がいた
のですが、伊達は躊躇なく令子も銃殺します。
上手く鉄道を利用して逃走する2人ですが、柏木刑事
は伊達を追い、ついに列車の中で伊達に銃を向けて
尋問を始めますが、後ろから真田に銃を突きつけら
れ、伊達に自分の銃を奪われた上、伊達によって射
殺されてしまうのです。
そして逃亡を続ける2人は、1組のカップルを見つけ、
真田は男を殺害し、女性を強姦するのです。その光景
を目にした伊達は、興奮して何十枚も写真を取り続け
ます。しかし真田の姿で過去の戦場での惨状を思い
出した伊達は、ついに真田を撃ち殺すのです。
その後東京に戻った真田は・・・
この映画に臨むにあたり、松田優作は体重を10kg以
上落とし、上と下の奥歯を4本抜いて頬がこけたように
見えるよう役作りしたのは有名な話ですね。それだけ
思い入れがあったということでしょう。おまけに主人公
の役になりきる上で、自分の身長が高すぎるという事
で、足を5cm程切断したいとまで言ったそうです。
松田優作の狂気の演技だけでなく、共演者の鹿賀丈史
さんも、今と違ってエネルギッシュさが半端ないほどの、
野獣性を見せつける演技だったのも印象的です。
難解なラストシーンについては、いろいろな考え方があ
るかと思いますが、見る側の人間が自由に想像すれば
いいのだと思います。