明子が電話に出ようとしましたが、正人は止めます。もう二人
の間を誰からも阻まれたくないんだということを、正人は説明
します。ところが明子は、これ以上何を聞いてもショックを受
けたりしないと言うのです。正人が電話に出ると、相手は柳田
だったのです。正人と明子はほっとするのでした。
正月休みも終わり、研究室に出勤した正人はメンバーに新年の
挨拶をします。京子は正人のスッキリした爽快さを喜びます。
明子は余っている牛乳をもらいに、ビレッジにやって来ました。
明子に三崎は、花束を送ってきたのは誰だか分かったのかを
尋ねます。村井はそんなことを聞くなと三崎をたしなめます。
明子は、もういいの。父と母が別の人だったことが分かったと
話したので、村井と三崎は驚きます。さらに明子は母が由紀子
で、海で死んだと話します。三崎は「海の男か」と怪訝そうに
ひとりごちます。村井は明子は偉い、父親は正人1人だと甲斐
甲斐しく立ち振る舞っていると言うと、三崎は正人も明子もお
めでたいなと冷ややかに言うのでした。
明子は桜井家を訪れますが、由紀子は入院していたので、帰ろ
うとしますが、そこへ秀彦が戻ってきたので、一旦は家の中に
入りました。かわいい娘がいるのに江上も罪深いやつだという
ふうに言うのです。明子が聞き返すと、秀彦は江上は明子の父
親の名前だと答えます。明子は海で死んだということしか知ら
ないと海でねえ、正人がそう言ってるのならそうなんでしょう
と、秀彦は意味深な言い方をするので、明子はとても気ががり
でした。
帰宅した正人に、本当の父の名前は江上勝っていういうんですね
と、明子は尋ねます。顔色を変えた正人は、誰から聞いたのかを
明子に尋ねます。明子は秀彦から聞いたと答えます。正人は他に
何か聞いたかとも尋ねますが、明子は秀彦の意味深な物言いを
思い出して、他には何もないと答えることにするのでした。
正人は秀彦に会い、明子に真実を言わないでいてくれたことの
お礼を言います。秀彦は再度明子を引き取ることを要求します。
秀彦は、真実をいつまでも隠せるはずはないし、本当の父親の
事が知れた時に明子に必要なのは、由紀子のはずだと秀彦は
言うのです。しかし正人は拒絶するのでした。
大学で京子は正人に声を掛けます。正人は明子が江上の名前
を明子が知ってしまったことを、京子に打ち明けます。京子は
明子に真実を言いましょうかと提案しますが、正人は首を縦に
は振りません。
京子は意気消沈する正人をリフレッシュさせるために、people
というディスコに連れて行きます。しかし正人は気乗りしない
ようで、京子に、君の好意を素直に受け止められないことを謝
ります。京子は正人が心を開かないことに虚しさを感じた京子
は、1人で踊るのでした。
正人が家に帰ると、明子が資料落としたでしょ、気をつけてと
言って見覚えのない資料を正人に手渡します。正人が中身を見
てみると、古い新聞が入っていて、新聞の内容を見た正人は驚
愕します。なんと、「曙町強盗傷害殺人事件」「犯人は西陣の
下絵描き江上勝」という見出しが書かれており、赤ペンで江上勝
の名前と顔写真に印しがされているのでした。明子は中身を見て
いないようなので、正人は冷や汗をかき、安堵するのでした。
次の日の朝、京子に新聞を見せて、明子に力を貸してやってほ
しいと頼むのでした。
京子と明子が二人で会っている所に潤もやって来またので、3人
でスケート場へ行きました。するとそこに明子の同級生の青野が
いたので、京子は2人にしてあげて見守ることにします。
正人は柳田に例の新聞記事を見せました。犯人は正人に近い所に
いる人物か、いつでも正人を監視出来る人物ではないかと柳田は
推測するのでした。電話が掛かってきたので柳田が出ると、京子
からで、正人に電話を代わります。明子と潤とで、スケート場に
来ていることの連絡でした。
結城家に正人と柳田が到着します。電気がついていなかったので、
まだ明子は帰宅していないようです。しかし中に入ろうとすると、
何と、鍵が開いていたのです。誰かが中に入って痕跡がありまし
た。家の中を見て回りますが、盗まれた物や荒らされた痕跡はあ
りませんでした。柳田はこれは、全てお見通しだという犯人から
正人への挑戦だと言うので、正人は震え上がるのでした。
翌日研究室で、京子は正人に鑑定について報告していましたが、
昨晩の事が気になり、明子の事が心配で虚ろな状態で、耳に入っ
ていません。それに気付いた京子は正人に明子を学校に迎えに
行くよう助言します。正人はその通り受け入れます。
正人が研究室を出ようとすると、大山教授が鑑定について聞きに
来ました。出掛けようとする正人に大山は皮肉言いますが、気に
することなく、正人は出ていきます。報告は京子がすることに
なりましたが、大山は不満そうでした。
ビレッジの前を正人が通りかかると、村井から明子が男友達と
一緒に帰ってきていることを聞き、正人は急いで家に向かいます。
家に到着すると、青野が玄関のところにいました。青野は今日
学校の明子のロッカーに不審な手紙を入れた者がいて、明子が
真っ青な顔になったので、家まで送ってきたと報告します。
明子の部屋をノックして、正人は中に入ります。すると明子はこの
手紙に書いてあることは本当かと聞き、丸めた紙を床に投げつけ
ました。正人は拾って見てみると、明子の父親は生きていると書
かれていました。正人は驚愕しながらも、こんなのは嘘だ、父さん
を信じろと言います。明子は冷ややかな表情で、お父さんの言う
ことはいつも同じね、父さんを信じろ・・・、分かった信じるわと
淡々とした口調で言うのでした。明らかに正人への不信感を募らせ
ているようでした。
そのまま明子は部屋を出て、青野と映画を見に行くと言い始め
ました。止めようとする正人に対して、いいじゃない私はお父さん
を信用してるんだから、お父さんも私を信用してよと言って、青野
と出掛けてしまいました。
京子のマンションにやってきた正人は、ここに来ることしか出来な
かったと、憔悴しきった表情で言うのでした。京子はびっくりした
表情になります。そして正人は、明子の父親は生きていると書か
れていた例の手紙を、京子に見せました。もう明子は自分を信用
していないと、正人は悲嘆に暮れます。京子は自分にも責任がある、
自分も同じですと言います。それで正人は京子を抱き寄せて、2人
抱き合うのでした。
正人と京子は、結城家まで腕を組みながら帰ってきます。そして
玄関先で別れ、正人は見送り、京子はマンションに戻って行きます。
家に入った正人は、明子に映画の話を聞かせて欲しいといいますが、
目も合わせず、正人の言葉には答えず、秀彦が来ていることだけ
を告げました。
秀彦は正人に、由紀子と離婚することにした、明子のために由紀子
と再婚してくれと言い出すのです。正人はそれを受け入れることは
出来ないのでした。
正人が明子の部屋に入ると、赤いペンで机に孤児と書かれており、
正人、妙子、明子の3人の家族写真には、めちゃくちゃに線が書き
散らされていました。正人は悲痛な思いになるのでした。