今日の名言
「 しかし人間は、何か一つ触れてはならぬ
深い傷を背負って、それでも、堪えて、そ知
らぬふりして生きているのではないのか。」
(「火の鳥」より「太宰治全集2」ちくま文庫収録)
大多数の人間のことを表した言葉だと感じ
ます。
中には生まれてこの方順風満帆、常に幸福
感を味わって生きているという人もいるのか
もしれません。
しかし大多数は、何かしら心の中に深い傷を
負って生きていると思います。
なぜなら、人間として生きていく限り、必ず他
者、社会と関わりを持ちますから、その中で
軋轢も生じます。
余程神経が図太くない限り、どうしても傷付く
ことも経験します。その傷が深いか浅いかの
違いだけではないでしょうか。
そしてその背負った傷のことは、自分の中だ
けで処理します。決して他人には見せません。
処理しきれなかった人は、自ら命を絶つ場合
もあるのでしょう。
ただ、逆に考えれば、他者、社会と関わりが
あるということは、一人ぼっちではないとも
言えます。他者から癒されることもあります。
人間は、傷つきながら、そして癒されながら、
命尽きるまで、この繰返しの中で生きていくの
かもしれません。
その繰り返しの中で、何を掴み取るかは、人
それぞれなのでしょう。