今日の名言
「本当にもうこれからは、やたらに人を非国民あつかいにして
責めつけるような気取ったものの言い方などはやめにしましょう。
この不幸な世の中を、ただいっそう陰鬱にするだけの事だ。他人
を責めるひとほど陰で悪い事をしているものではないのか。
こんどまた戦争に負けたからと言って、大いそぎで一時のがれの
ごまかしを捏造して、ちょっとうまい事をしようとたくらんでいる
政治家など無ければ幸いだが、そんな浅墓な言いつくろいが日本を
だめにして来たのだから、これからは本当に、気をつけてもらいたい。
二度とあんな事を繰り返したら世界中の鼻つまみになるかも知れぬ。
ホラなんか吹かずに、もっとさっぱりと単純な人になりましょう。」
(「パンドラの匣」新潮文庫より)
大人達の卑怯な言動に対する強い憤りが、この名言には込められ
ているのだと思います。一時逃れのごまかしを捏造するという、
はっきり言って、国の指導者、政治家にありがちな言動が、日本
をダメにしてきたのだと、太宰治はきつく断罪しているのでは
ないでしょうか。
なぜ、責任逃れをするのか、なぜ他人に責任をなすりつけるのか
それほど、自分さえ良ければいいのか、政治家は、国民のために
活動すべきでは無いのかという主張がなされるのは、太宰治が
予想していたかどうかはともかく、今も何も変わっていません。
という事は、国民が、さらに言えば、若者が、そういう政治家
の身勝手さを、しっかり糾弾して、より良い社会になるように、
政治家を、指導者を監視していかないことには、これからも
何も変わらないのかもしれません。
自分の方が余程悪い事をしているにも関わらず、 すぐに他人に
責任をなすりつけ、自分の悪事はごまかすなんて、人間として
最低だと思います。
パンドラの匣改版 [ 太宰治 ]