今日の名言
「楽観論やら悲観論やら、肩をそびやかして何やら演説して、
ことさらに気勢を示している人たちを岸に残して、僕たちの
新時代の船は、一足おさきにするすると進んで行く。何の渋滞
も無いのだ。それはまるで植物の蔓が延びるみたいに、意識を
超越した天然の向日性に似ている。」
(「パンドラの匣」新潮文庫より)
確かに、戦後日本の悲惨な状態において、ある人は悲観論を
まくし立て、またある人は、日本はなるとそれでも何とかなる
と楽観論を主張する人もいたでしょう。
しかし、戦後若い人達は、そんな大人達の主義主張には、もう
うんざりしていたのかもしれません。
大人達の言う事は、その時その時でコロコロ変わるのですから。
若者は、そんな大人達の身勝手さを、十分見抜いていたという
事でしょう。
だから、身勝手な気勢をあげる大人達は、もう必要性がない、
若い人達が、新しい日本を築いていくのだという、太宰治の
若者達への強い期待、信頼がこの名言には込められている
のだと思います。
いつも時代も、過去に縛られた大人達ではなく、新しいそして
何もしがらみのない若者が、新しい世の中を形成していかない
といけないのではないでしょうか。
パンドラの匣改版 [ 太宰治 ]