今日の名言
「それはもう大昔からきまっているのだ。人間には絶望
という事はあり得ない。人間は、しばしば希望にあざむ
かれるが、しかし、また「絶望」という観念にも同様に
あざむかれる事がある。正直に言う事にしよう。人間は
不幸のどん底につき落され、ころげ廻りながらも、いつか
しら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ。」
(「パンドラの匣」新潮文庫より)
人間に対する太宰治の強い希望と願いが込められている
名言だと思います。
敗戦という非常に過酷な状況になっていても、日本は、
そして日本国民 は、必死になって復興しようと前進を
続けたからこそ今の日本があるわけです。
きっと太宰治は、戦争終了直後における日本の状態をみて、
今の状態を確信していたのかもしれません。だからこそ、
不幸のどん底に突き落とされても、一縷の望みを探し当て
ていると言っているのでは無いでしょうか。
そういう意味でも、人間は絶望にさえも欺かれると言える
のかもしれません。
絶望に打ちひしがれ、不幸のどん底に突き落とされても、
決して諦める事なく、前を向いて生きていかないといけ
ない、そんな太宰治の強いメッセージが感じられると思い
ます。
パンドラの匣改版 [ 太宰治 ]