人間の世界における真理とは

今日の名言

いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。 自分がいままで
阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、
たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
(「人間失格」新潮文庫より)

幸福も不幸もなく、一さいが過ぎていくということが、
今まで生きてきた人間の世界に於いてたった一つの真理
らしく思えたというのは、もう何もかも悟りきった人
だからこそ言える言葉でしょうか。

それとも、完全に人間として失格の烙印を押されたから
こそ、開き直って言える言葉なのでしょうか。

何れにしても、壮絶な人生を生きてきた人間だからこそ
言える言葉であると思います。

人間を恐れ、世間を恐怖し、人から言われたことを拒否
出来ないで人生を生きてきた、主人公の葉三。この葉三
の生きた人生とは一体何だったのかと考えると、胸が
苦しくなります。

生きれば生きるほど、葉三は不幸になり、不安と焦燥を
常に感じなければならない人生。

脳病院を出て、老女中と茅屋で暮らすようになった葉三
の最後は、幸福も不幸もないと、せめて不幸を感じなく
なっただけ、救いがあると考えるべきなのでしょうか。
人間失格改版 [ 太宰治 ]
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