人間に本当のことを訴えるのは無駄な時間

今日の名言
必ず片手落のあるのが、わかり切っている、所詮、人間
に訴えるのは無駄である、自分はやはり、本当の事は何も
言わず、忍んで、そうしてお道化をつづけているより他、
無い気持なのでした。
(「人間失格」より新潮文庫)

自分以外の周囲の人間が理解できず、常に不安と恐怖に
苛まれている主人公、大庭葉蔵は周囲の人間に何かを
訴えても無駄だと悟ってしまうのです。

口答えもできない、嫌なことも嫌と言えないという、周囲
の人間に対する恐れ、また不信感がいっぱいであるため、
全てを受け入れて我慢し、自分自身は道化を演じ続ける
のです。

自分自身が、周囲の人間に対して、自分を曝け出さないと
周囲の人間も、心を開いてくれないというのも、事実である
とは思います。

しかし、純粋すぎるが故に、周囲の人間の見せる難解な部分
そして、本音と建前を使い分け、そして互いを騙しあいながら、
平気で生きていける人間が、不可解でならず、もう何も信じ
られない状態になると、人間に対して、本当の気持ちや、正し
いと思うことも何も言えなくなんるのでしょう。

世の中に染まりすぎて、本音と建前を使い分けることや、方便
として平気で嘘をつけるようになっている自分は、もはや信用
してもらえない人間に成り下がっているか、神経が破綻している
といっていいのかもしれません。
人間失格改版 [ 太宰治 ]
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