今日の名言
「幸福の便りというものは、待っている時には、決して来ない
ものだ。決して来ない。友人を待っていて、ああ、あの足音は?
なんて胸をおどらせている時には、決してその人の足音ではない。
そうして、その人は、不意に来る。足音も何もあったものでは
ない。全然あてにしていないその空白の時をねらって、不意に
来る。不思議なものだ。」
(「正義と微笑」より「パンドラの匣」新潮文庫収録)
どうして幸福の便りは、待っている時に来ないんでしょうか。
忘れた頃に、不意に訪れるんです。
結局「幸福」をどのように解釈するか、自分の幸福とはどう
いうものかということになるのでしょうか。
きっと、たいていの人たちは、幸福が来るのを待って、待って、
待ちくたびれて、そうして幸福がくるのを待つのを忘れて、
そんな時に不意に幸福が訪れることが、何よりも幸せであると
無意識に潜在意識的に思っているのではないでしょうか。
だから、待っている時には幸福は訪れないのかもしれません。
幸せかどうかは、他人からどう思われているかではなく、自分
次第で決まるんでしょうね。
パンドラの匣改版 [ 太宰治 ]