貧乏生活でもプライドを捨てずに生きる

今日の名言
いいお仕事をなさって、そうして、誰にも知られず、貧乏で、
つつましく暮して行く事ほど、楽しいものはありません。私は、
お金も何も欲しくありません。心の中で、遠い大きいプライド
を持って、こっそり生きていたいと思います。
(「きりぎりす」新潮文庫より)

他人との迎合を嫌い、周りに流されることなく、常に反骨精神
を持って生きた太宰治らしい表現ですね。

画家である夫が、 死ぬまで貧乏で、わがまま勝手な画ばかり描いて、
世の中の人みんなに嘲笑せられて、けれども平気で誰にも頭を下げず、
たまには好きなお酒を飲んで一生、俗世間に汚されずに過して行くお方
だとばかり思っていたのに、あれよあれよと、立身出世していくことに
戸惑い、また偉くなり、お金のことを頻繁に口にする夫を恥ずかしく           思う妻が発するのが、上記の言葉です。

常に我が道を行くではないですが、敢えて俗世に流されずにプライド
を持って生きる方が、高潔ですからね。

お金に惑わされて、人生の道を踏み外す人が、数多くいますが、そう
いうことを戒めてくれる、非常に含蓄深い警句だと思います。
きりぎりす改版 [ 太宰治 ]
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