今日の名言
「私は、世の学問というものを軽蔑して居ります。たいてい、
たかが知れている。ことに可笑おかしいのは、全く無学文盲
の徒に限って、この世の学問にあこがれ、「あの、鴎外先生
のおっしゃいますることには、」などと、おちょぼ口して、
いつ鴎外から弟子でしのゆるしを得たのか、先生、先生を連発
し、「勉強いたして居ります。」と殊勝しゅしょうらしく、眼
を伏せて、おそろしく自己を高尚に装よそおい切ったと信じ込
んで、澄ましている風景のなかなかに多く見受けられることで
ある。」(「女の決闘」より「太宰治全集3」ちくま文庫収録)
太宰治が軽蔑するタイプの人間の一つだと思います。たかがし
れているにも関わらず、したり顔をして偉そうに話すような
タイプですね。
そういうことをしても、所詮たかがしれているわけですから、
どうせ馬脚を露わすに決まってます。
それなら、一生懸命努力していて、なおかつしゃしゃり出るよ
うなことはせず、必要に迫られた場合にのみ、自身の身に着けた
知識技能を披露する、そんな人間でいたいものです。
はにかみや、羞恥心、控えめさを持ち、常に真の知性を磨き続け
られる人間であることが大切ですね。
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