いつ死んでもいいと思って生きる

今日の名言
私は、歴史的に、悪役を買おうと思った。ユダの悪が強ければ
強いほど、キリストのやさしさの光が増す。私は自身を滅亡する
人種だと思っていた。私の世界観がそう教えたのだ。強烈な
アンチテエゼを試みた。滅亡するものの悪をエムファサイズして
みせればみせるほど、次に生れる健康の光のばねも、それだけ強く
はねかえって来る、それを信じていたのだ。私は、それを祈ってい
たのだ。私ひとりの身の上は、どうなってもかまわない。反立法と
しての私の役割が、次に生れる明朗に少しでも役立てば、それで私
は、死んでもいいと思っていた。
(「姥捨」より「太宰治全集2」ちくま文庫収録)

キリスト教と聖書に影響を受けた太宰治らしい表現だと思います。
そして自身の出自をも嫌っていた太宰治だからこそ、次に生まれる
明朗に少しでも役立てば、それで私は死んでもいいと、言えるのだ
と思います。

自分さえ良ければいいという、身勝手で自己中心的な人間が多い
世の中で、このような太宰治の言葉は究極の自己犠牲的な思考で、
身が引き締まる思いがします。

さらに、自らは悪役を買って出るということですから、外面ばか
り良くて、人からどう思われているかという他人の目線ばかりを
気にする人も多いのに、本当にただただ、頭が下がります。
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