今日の名言
「おれは、いま、君をはづかしめる意圖からこの小説を
書かう。この小説の題材は、おれの恥さらしとなるかも
知れぬ。けれども、決して君に憐憫の情を求めまい。
君より高い立場に據つて、人間のいつはりない苦惱と
いふものを君の横面にたたきつけてやらうと思ふので
ある。」(「陰火」より「太宰治全集2」ちくま書房収録)
このような表現からは、ありきたりですが孤高の作家
というイメージがあります。自分の恥をさらしてもいい
という思いで常に作品を作り続けてきたのではないで
しょうか。
人間のいつわりのない苦悩、これも心に突き刺さります。
誰もが生きている限り、不安や苦悩を抱えると思います。
しかし、簡単にはそれは他人には理解してもらえない。
だから孤独感を感じ、余計に不安に苛まれ悩み苦しみます。
そんな時に太宰治の作品を読むと救われます。作品の
人物とシンクロして、孤独の恐怖から救い出してもらえます。
いつわりのない人間の苦悩と立ち向かい、さらに憐憫
の情も求めないところに、とても潔さをも感じます。
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