太宰治の富嶽百景 「富士は偉い」

今日の名言
『私は、部屋の硝子戸越しに、富士を
見てゐた。富士は、のつそり黙つて立
つてゐた。偉いなあ、と思つた。「いい
ねえ。富士は、やつぱり、いいとこある
ねえ。よくやつてるなあ。」富士には、か
なはないと思つた。念々と動く自分の愛
憎が恥づかしく、富士は、やつぱり偉い、
と思つた。よくやつてる、と思つた。
(「富嶽百景」より「富嶽百景/走れメロス
改版」岩波文庫収録)

人間は自然に勝てません。かないません。
その象徴が「富士」なんでしょうか。

いつもどっしりと構えている姿。それに対
して人間は常に揺れ動く。安定しない。そ
の様に比べて富士の雄大さは、いかに自分
がちっぽけなものか、思い知らされます。

若い頃はともかく、いい大人になった今も
なお、自分は落ち着かないというのは情け
ないことです。


富嶽百景/走れメロス改版 [ 太宰治 ]

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