今日の名言
「「愛」は困難な事業である。それは、「神」にのみ特有
の感情かも知れない。人間が人間を「愛する」という
のは、なみなみならぬ事である。容易なわざではない
のである。神の子は弟子たちに「七度の七十倍ゆるせ」
と教えた。しかし、私たちには、七度でさえ、どうであろ
うか。「愛する」という言葉を、気軽に使うのは、イヤミで
しかない。キザである。」
(「チャンス」より太宰治全集8」ちくま文庫収録)
簡単に「愛」という言葉を使う事多いですが、「愛する」
という事は、実は生易しいことではないんですね。
太宰治は、「愛」という美名を使うことで、卑猥感を隠蔽
しようと企んでいるのではなかろうかとも言っています。
「愛」については、たくさんの偉人がいろいろな説明を
していると思いますが、実際困難な事業です。基本的に
見返りを求めないのですから。
神は当然、見返りを求めることはないですから、「愛」は
神にのみ特有なものなのかもしれません。
そういう意味では、単なる性欲感情のことを「愛」とは
言わないでほしいですね。
◆◆太宰治全集 8 / 太宰治/著 / 筑摩書房