指導者とは、誰もかれもがなりたがる?

今日の名言
「文化ってどんな事なの? 文ぶんのお化ばけと
書いてあるわね。どうして日本のひとたちは、こん
なに誰もかれも指導者になるのが好きなのでしょう。
大戦中もへんな指導者ばかり多くて閉口だったけれ
ど、こんどはまた日本再建とやらの指導者のインフ
レーションのようですね。おそろしい事だわ。日本は
これからきっと、もっともっと駄目になると思うわ。
若い人たちは勉強しなければいけないし、あたした
ちは働かなければいけないのは、それは当りまえの
事なのに、それを避けるために、いろいろと、もっとも
らしい理窟がつくのね。そうしてだんだん落ちるところ
まで落ちて行ってしまうのだわ。ねえ、アナーキーっ
てどんな事なの? あたしは、それは、支那の桃源
境みたいなものを作ってみる事じゃないかと思うの。
気の合った友だちばかりで田畑を耕して、桃や梨や
林檎の木を植えて、ラジオも聞かず、新聞も読まず、
手紙も来ないし、選挙も無いし、演説も無いし、みん
なが自分の過去の罪を自覚して気が弱くて、それこ
そ、おのれを愛するが如く隣人を愛して、そうして疲
れたら眠って、そんな部落を作れないものかしら。
あたしはいまこそ、そんな部落が作れるような気が
するわ。
(「冬の花火」より「グッド・バイ改版」新潮文庫
収録)

真剣に終戦直後の日本再建を考えていた指導者
もいたのだと思います。

しかし、終戦後の混乱に便乗して指導者面してい
た人間が多かったのでしょう。指導者のインフレ
とまで言ってますからね。

またそんな状態に嫌気がさして、自ら桃源郷を作
るという気持ちになるのも当然のような気がします。

現在の政治家もどこまで真剣に国のこと、国民の
ことを考えてくれているのか分かりませんが。


グッド・バイ改版 [ 太宰治 ]

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