人の役に立つとは

今日の名言
「そんなに生れつき劣っている子が、みん
なに温く愛されて、ひとり、幸福にふとって
いるなんて、あたし、もうそんなだったら、
死んだほうがいい。あたし、お役に立ちた
いの。なんでもいい、人の役に立って、死
にたい。男のひとに、立派なよそおいをさ
せて、行く路々に薔薇の花を、いいえ、す
みれくらいの小さい貧しい花でもがまんす
るわ、一ぱいに敷いてやって、その上を堂
々と歩かせてみたい。そうして、その男の
ひとは、それをちっとも恩に着ない。これは、
はじめからこうなんだと、のんきに平気で、
行き逢う人、行き逢う人にのんびり挨拶を
かえしながら澄まして歩いていると、まあ、
男は、どんなに立派だろう。どんなに、きれ
いだろう。それを、あたしは、ものかげにか
くれて、誰にも知られずに、そっとおがんで、
うれしいだろうなあ。女の、一ばん深いよろ
こびというものは、そんなところにあるので
はないのかしら。そう思われて仕方がない。」

(「火の鳥」より「太宰治全集2」ちくま文庫収録)

人の役に立ちたいですね。それはいつも考
えます。どうやったら役に立てるのか。

結論は私利私欲を捨て、純粋に人のことを
思って、行動しないといけないんだと思いま
す。これっぽっちも自分に見返りを求めるよ
うなことを考えてはいけないんだと思います。

ただ、これがなかなか出来ないんです。どう
しても純粋に相手の事だけを考えられず、
自分のことを考えてしますんです。

情けないですね。でもこれが自分自身の現
実として受け止め、少しづつ改めていくしか
ないのだと思います。


太宰治全集 2 ちくま文庫 【文庫】

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