今日の名言
「天皇陛下万歳! この叫びだ。昨日までは古かった。しかし、
今日に於いては最も新しい自由思想だ。十年前の自由と、今日
の自由とその内容が違うとはこの事だ。それはもはや、神秘主義
ではない。人間の本然の愛だ。今日の真の自由思想家は、この
叫びのもとに死すべきだ。アメリカは自由の国だと聞いている。
必ずや、日本のこの自由の叫びを認めてくれるに違いない。」
(「パンドラの匣」新潮文庫より)
戦争に負け、アメリカによって占領され、天皇制の存続が危ぶ
まれましたが、何とかアメリカ政府、GHQの意向の以降によって
存続しました。
天皇陛下に対する考え方は、いろいろあると思いますが、
太宰治は「苦悩の年鑑」において、「 これまでどんなに深く
天皇を愛して来たのかを知った」と書いています。
戦中は天皇陛下を担ぎ上げて、戦争を推し進めていたにも
関わらず、敗戦したとたんに、天皇陛下の戦争責任を主張する
ような人間が多くなり、そのような人間に対するご都合主義
を、太宰治は強い嫌悪感を持っていたのだと思います。
同じ天皇陛下万歳という言葉も、戦中と敗戦後では大きく意味
合いが異なります。自由主義における天皇陛下万歳というもの
は、まさに陛下が日本国民の象徴であるということに非常に
相似的なのではないでしょうか。
パンドラの匣改版 [ 太宰治 ]