すべてが言い尽くされて来た概念とは

今日の名言
ひとの行為にいちいち説明をつけるのが既に古い
「思想」のあやまりではなかろうか。無理な説明は、
しばしばウソのこじつけに終っている事が多い。理論
の遊戯はもうたくさんだ。概念のすべてが言い尽され
て来たじゃないか。」(「パンドラの匣」新潮文庫より)

戦争直後における結核療養所を舞台にしたこの小説の、
比較的はじめの方に書かれている、一節です。

戦争後、政治体制も大きく変わり、指導者が言うことは
戦前とは丸っきり変わってしまった世の中で、主人公が
言ったこの言葉は、まさに戦時中から戦争直後の日本を
言い表していると思います。

戦争に突入する時の無理な説明も、ウソのこじつけだし、
戦争が終わってからの様々の主義主張も、所詮理論の
遊戯で、実生活に即したものは無い。

だからそもそも人の行為に説明をつけようとすること
自体が古いという事であり、キリスト教に少なからず
影響を受けた太宰治は、人の行為は総じて理論があって
という事からではなく、神のお導きということを言おう
としているのかもしれません。

もしくは、戦後日本の指導者達が言う理論や概念は、何も
信用出来ないという意味でしょうか。
パンドラの匣改版 [ 太宰治 ]
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