新しい思潮の擡頭を求める意味

今日の名言
まったく新しい思潮の擡頭を待望する。それを言い出すには、
何よりもまず、「勇気」を要する。私のいま夢想する境涯は、
フランスのモラリストたちの感覚を基調とし、その倫理の儀表
を天皇に置き、我等の生活は自給自足のアナキズム風の桃源で
ある。」(「苦悩の年鑑」より「太宰治全集8」ちくま文庫収録)

戦後全く新しい政治体制へと変化し、戦時中では考えられない、
主義主張や考え方も導入されるようになりましたが、どうも何
か嘘臭くて仕方がないわけです。

戦争に負けたからとはいえ、戦時中とは手の平を返したかの
ように、言っている 事がまるっきり異なる輩ばかりだったで
しょうから、まともな神経をであれば、当然、簡単に受け入れ
られないでしょう。

そこで太宰治は、全く新しい思潮の擡頭を求めるわけです。
そして太宰治の夢想するのは、アナキズム風の桃源であるわけ
です。前述のように、戦後まるっきり言うことが変わったわけ
ですから、政府も何も信用できないからこそアナキズム風を
想定するわけですね。

また、「倫理の儀表」を天皇に置くというのは、戦時中は「天皇
陛下、バンザイ」だったのが、戦後は天皇の悪口を言う輩が出て
き始めたことに対しての強烈な批判も込められているように感じ
られますね。もちろん太宰治自身が天皇を敬愛していたこともあ
ると思いますが。
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